中医協等ピックアップ
<新薬創出等加算に厳格化を求める声>
6月14日に開催された中医協・薬価専門部会で、2010年改定で導入された新薬創出等加算の
見直しが議論されました。
革新的な新薬の創出を加速させることを目的として、厚労省から開発要請・公募された品目等の
開発に取り組んでいる製薬企業が製造販売する新薬に対して、市場実勢価格に基づく薬価の引下げを
猶予することで、後発品上市又は収載15年後の最初の薬価改定までは、実質的に収載当初の薬価が維持される制度。
しかし、28年改定において対象品目は800を超え、加算額は1000億円に上っている反面、イノベーションの
促進につながっているというよりは、単に薬価を高止まりさせているだけという側面に批判が強まっています。
そこで、新薬開発投資率、世界同時開発(国際共同治験)の実施、産学連携への取組を指標として加えることや、
指標の達成度・充足度に応じて、加算額に段階を設けていくような仕組みが提案されました。
<7対1のアウトカム指標となる「再入院率」を>
6月21日の入院医療等の調査・評価分科会では、7対1入院基本料が議論されました。
2016年改定からの1年間で、7対1届出病床数はマイナス1.1万床であったことが報告されました。
更に7対1を厳格化する方向性として、厚労省は急性期の病棟機能を反映した指標として再入院率を提案した。
また、一般病棟入院基本料は看護配置の違いで区分が設定されているが、入院基本料導入前の入院時医学管理料に
相当する医学的な管理についてどのように考えるか、患者の状態や診療の効率性等の要素も考慮する必要が
あるのではないかという提起がありました。
<短時間通所リハビリの要件緩和が論点に>
6月21日の介護給付費分科会では通所リハビリテーションが議論され、維持期リハビリの介護保険への移行が
進まないことを受けて、短時間通所リハビリの要件緩和を求める意見が出されました。
また、通所リハビリと通所介護の機能と役割分担についても議論があり、通所リハビリのほうが機能改善の
度合いが大きいことが示されました。それを受けて、「機能の維持が主眼になってから通所介護に移行する、
といった役割分担を明確にする必要がある」との意見も出されました。
<要介護被保険者への維持期リハビリの実態など調査へ>
6月28日の中医協総会では、2016年改定の結果検証に係る特別調査が議論され、
(1)回復期リハビリ病棟におけるアウトカム評価の導入の影響、維持期リハビリの介護保険への移行状況などを
含むリハビリテーションの実施状況
(2)医薬品の適正使用のための残薬、重複・多剤投薬の実態等
(3)ニコチン依存症管理料による禁煙治療の効果
などについて調査票が提示されました。(1)は同時改定の方向性を検討する重要な資料となりそうで、
7-9月に調査を行い、10-11月には結果が中医協に報告される見込みです。
<画期的新薬の薬価をどう評価すべきか、意見の隔たり大きく>
6月28日の中医協・薬価専門部会では、新薬の薬価決定方法について議論されました。
新薬の薬価は、類似薬がある場合は類似薬効比較方式(1)で、類似薬がない場合は原価計算方式で計算されます。
この内、原価計算方式について、革新性等の加算が営業利益部分だけに行われていることについて、
製造経費等が明確とされた場合に、より評価できるような仕組みを設けてはどうかという提起がなされました。
メーカー代表からは同調する意見が上がったが、他の委員からは「製造原価等が明確とされた場合」の
「明確性の担保」をどのように行うかについて、中医協で製造原価が公開されない現状から実現性に疑問を呈しました。
それに対してメーカー代表も製造原価の「公表」には慎重な姿勢を示しています。
<費用対効果評価 対象は革新的かつ市場規模の大きなものに限定>
6月28日の中医協・費用対効果評価専門部会では、2018年度から導入する医薬品・医療機器の費用対効果評価の
対象と評価の活用方法について整理がなされました。
評価対象については、治療法が十分に存在しない稀少な疾患や小児疾患に対する治療に用いるものは対象外とした上で、
医薬品については(1)革新性が高い品目(補正加算のある品目等)、かつ(2)市場規模の大きな(市場規模が
一定程度を超える)品目に、医療機器については1.診療報酬項目において高額な医療機器が包括的に評価されていること、かつ2.既存技術との比較(置き換え)が明確な技術―に限定するとしました。
評価の活用方法については、原則として有効性・安全性等が確立した医療は保険給付の対象とされてきたことを踏まえ、
費用対効果評価の結果は、原則として保険償還の可否の判断には用いず、価格の調整に用いる位置づけとするとしました。
<コンピュータチェックルール、2017 年度中に公開基準を策定>
7月4日、厚労省は「支払基金業務効率化・高度化計画・工程表」を公表しました。
そのなかで、支払基金は2017 年度中にコンピュータチェックルールの公開基準を策定し、順次公開を進めるとしました。
また、請求前の段階でレセプトのエラーを修正する仕組みの導入として、一つはオンライン請求時の記載不備等の
チェックシステムである現行のASPを拡充。もう一つは、公開されたコンピュータチェックルールを用いて
医療機関等において事前にコンピュータチェックが行える仕組みを導入することも、 2020 年度から実施するとしています。
「国民の健康確保のためのビッグデータ活用推進に関するデータヘルス改革推進計画・工程表」及び「支払基金業務効率化・高度化計画・工程表」について
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170011.html