2月27日から3月4日まで神戸市でRCEP(東アジア地域包括的経済連携)の会合が開かれています。
TPPがトランプ大統領の登場で頓挫しましたが、RCEPもメガ自由貿易協定の一つです。 参加国はASEAN10カ国、中国、インド、韓国、ニュージランド、オーストラリアと日本の16カ国。 この会議が注目されているのは、日本で開催されるというだけではなく、TPPが頓挫して初めての交渉だからです。
26日に、「RCEPに対する国際市民会議」が主催して神戸市で開催された関連企画に参加して現状と問題について 聞いてきました。解説したのは、ニュージーランド・オークランド大学のジェーン・ケルシー教授。 元首相の鳩山友紀夫氏(由紀夫から改名)も特別講演を行いました。
ケルシー氏は、RCEPのようなメガ自由貿易協定は、広い領域を含み各国の将来の政策を拘束するもので、 基本的には新自由主義モデルをもとにしていること。TPPと同様に秘密交渉であること。多くのTPP参加国が TPPにかけた政治的コストを再活用させるため、RCEPにさらに悪いかたちでその内容を持ち込もうとしていること、 などを指摘。日本や韓国から医薬品特許の保護強化やTPPで問題となったISD条項が提案されていることなどを 例示しました。
医薬品の問題は、発展途上国・後発途上国でのジェネリック医薬品製造を阻害します。RCEPは域内の経済的、 文化的な違いが大きいため、同じ市場モデルを志向したTPPよりも複雑で難しいとされます。今後について、 交渉過程にアクセスできるのは企業だけでなく市民にもオープンにさせることや、国や地域を超えて情報を 共有することなど課題が述べられました。
鳩山氏は、東アジア共同体に不戦につながる議論の場をつくることは重要だが、新自由主義はもっと批判されるべきと 行き過ぎた自由貿易を批判。先進国のエゴではなく、途上国を発展させる視点を大事にしつつ、持論の「友愛思想」を 導入すべきと発言しました。