京都市の保健福祉行政はどこへ…?

京都市3施設の合築方針を考える実行委員会が陳情書を提出
京都市は今、京都市児童福祉センター、京都市地域リハビリテーション推進センター、京都市こころの健康増進センターの3施設を合築して1箇所に集める計画を進めています。
協会が参加する「京都のリハビリを考える会」も一翼を担う「京都市3施設の合築方針を考える実行委員会」は、現在開会中の京都市会に「陳情書」を提出しました。

「請願」と「陳情」
議会に私たちの声を届ける方法として、主に「請願」と「陳情」があります。
「請願」を議会に提出するには、紹介議員が必要です。紹介議員の署名がある「請願書」は、議会で「審査」され、その趣旨を是とするか非とするか、議会は「意思」を決定せねばならないことになります。
「陳情」は、議会提出に紹介議員は不要です。議会の意思決定はなされないものの、陳情に書かれた内容について、議会で審議がなされることになります。
今回、実行委員会が提出したのは陳情書です。10月19日に京都市会の教育福祉委員会で審査されました。

陳情書が求めた内容
陳情書は次の項目について要望しました。
1.京都市3施設合築方針は、合築の是非に立ち返って再検討すること。
2.再検討にあたっては、京都市3施設を必要とする市民や現場スタッフの声、京都市職員である医師・保健師等、専門的見地を踏まえた検討の場を公開で設置すること。当事者抜きに勝手に方針を決めないこと。
3.3施設合築を前提とせず、京都市児童福祉センター、京都市地域リハビリテーション推進センター、京都市こころの健康増進センターそれぞれの施設が、京都市の公的責任に基づく社会福祉保障の拠点として一層機能強化されるよう、検討すること。

〈具体的な機能強化の方向として〉
(1)京都市児童福祉センターの事務スタッフやケースワーカーの大幅増員を行うこと
(2)育ちに弱さのある児童等、子どもを対象とした医療・福祉施策は、成人期に至るまでの切れ目のない支援と子どもたちの発達保障がなされるようにすること。
(3)京都市に暮らす子どもたちの発達保障や虐待への対応をより進め、より細やかな施策を進めるため、相談機能、検査・診断・療育機能を兼ね備えた公立の施設を、行政区単位に創設し、地域の保育園や小学校と連携が図られるようにすること。
(4)京都市地域リハビリテーション推進センターの入院機能・医療としてのリハビリテーションの提供機能を復活させること。
(5)京都市こころの健康増進センターは2015年9月の移転以前の住所地に戻し、老朽化した施設を改修するなどし、独自の体育館や研修会も確保する等、一層の機能拡充を図ること。

4.京都市発達障害者相談支援センター「かがやき」が入っている「元待賢小学校」をはじめ、歴史と伝統ある小学校跡地を営利事業に活用する計画は全て中止すること。

陳情書に対する市当局のコメント「あくまで合築を前提に」
今日の議会で、京都市当局は以上の陳情項目について、次のような趣旨でコメントしました。
・政令指定都市で初めて、児童福祉も含めた横断的な対策を可能とする施設構想である。合築の是非に立ち返った再検討をするつもりはない。
・今年度、京都市役所の中でプロジェクトチームをつくり、3施設合築後のソフト面についての基本方針を検討している。方針確定次第、市民や関係者の意見を聞く場を設定する。
・3施設合築でそれぞれの施設は一層の充実を図る方向である。
・児童福祉センターは全国トップレベルの専門職を配置しており、職員も大幅増員している。
・子どもたちのための公立施設を行政区単位に設置することは考えていない。
・市リハセンの附属病院復活は考えていない。
・こころの健康増進センターは、市リハセンと同じ建物に移ったメリットを活かせる方向で、さらに検討したい。
・地域コミュニティの理解を得て、小学校跡地の活用は考えていきたい。

委員会では、議員から「なぜ、合築することだけを先に決めているのか。合築の是非そのものが問われているのではないか」との質問もなされましたが、京都市当局は「あくまで合築を前提に」の姿勢を崩しませんでした。

繰り返されてきた「行政リストラ」の一環か?
京都市は行政区単位の保健所を廃止して「保健センター化」したのを皮切りに、直営施設としての京都市休日急病診療所を廃止、京都市リハセン附属病院の廃止と、保健福祉サービスを直接担う施策から次々に手を引いてきました。今回の3施設合築方針も、同様の行政リストラだとすれば、先々の展開がとても不安です。
陳情した実行委員会には、こどもたちの発達保障に携わる専門家や親御さんの会も参加しており、みなさんは児童福祉センターの発達保障機能が低下しないかと、不安を抱かれています。

京都市は保健センターと福祉事務所の合体も考えている
さらに京都市は、「子ども若者はぐくみ局(仮称)」を来年度にも立ち上げ、同時に各行政区の「保健センター」と福祉事務所を統合し、「保健福祉センター」化する方針も打ち出しています。必要な効率化・合理化は確かにあるでしょう。
しかし、効率化を最優先することで、市民の医療や福祉、感染症対策や衛生対策が後退するようなことになれは、取り返しがつきません。
協会は、国の医療制度改革の動向とあわせて、地方自治体の医療福祉・公衆衛生行政をめぐる動向を把握し、医療者として必要な提言を届けていく仕事をさらに強めていきたいと考えています。