ひとを診ること

 福光眞二(2007/04 開業)

勤務医時代に専門である消化器領域にこだわらず、生活習慣病をはじめ様々な疾患を担当してきた姿勢が、開業後の診療にこの上なく役立っています。当院の立地は、駅ターミナルに近い診療所が集中した地域で、テナントビル5階という条件から、当初は医院経営を危惧する声が寄せられました。しかし交通網や商業施設をマクロの視野で眺めると、人の動線がこの地に集中することが明白であり、計算されたチャレンジ精神で開業を決意したと言えます。集患については、勤務していた近隣中核病院の患者さんが、少なからず開業当初から来院して頂いたことによって、自信と心のゆとりが生まれたことは間違いありません。またホームページの制作とビル1階に掲げた看板以外、積極的な広告は行いませんでした。なにより口コミが重要だと信じ、日々患者さんの立場を理解しながら丁寧な診察を続けることが最大の集患対策ではなかったでしょうか。専門性に固執することなく、広い視野で全人的に患者さんに接する。すなわち開業医は、病気や臓器ではなく“ひとを診る“という大切な使命を肝に銘じ自らの診療を律すれば、照らされた道が開けるように思います。