患者さんとの信頼関係構築に腐心

たばた皮フ科クリニック 田端康一(2009/06 開業)

開業医にとって立地や物件は、とても大切だと思います。当然ながら極力、皮膚科開業医が少なく、より必要とされる地域を選びました。場所が良くても物件がないと始まりません。私の場合は、たまたま空きが出たところで、決断してから内装建築着工まで2~3か月ほどしかなく、とにかく時間がありませんでした。そこで、少し前に開業して順調に軌道に乗っている知り合いのドクターの診療所を見学し、参考にさせていただいたことで、なんとか開業にこぎつけることができました。敷地面積は比較的広い物件でしたので、基本的には診察室を3部屋作り、自分が動くことで効率的に診察するようにしました。子どもの患者が多いと予想されましたので、お母さんが授乳できて、化粧直しができるスペースを確保し、また待合室も広くとりました。内装のデザインは清潔感を重視し、おしゃれで高級な感じをあえて避けました。美容皮膚科をする訳でもないので男女問わず、できるだけ幅広い層の患者さんが気兼ねなく来院できるようにという思いです。幸いたくさんの方が初日より来院していただき、「このあたりは少なかったので助かります」というお言葉をいただきうれしかったです。駅構内や道路沿いの看板や広告も早い時期に打ち切っています。ホームページも作っていません。特に宣伝したいような医療機器も経歴もありませんし、ちょっとした治療のコツで効果がまったく変わることをわかっていただきたく、毎日診療しています。結果的に口コミで患者が集まることを目指しています。

 一方で、開業してから5年経ち患者さんの数が増えてくると、それはそれで問題が増えます。患者さんには待ち時間が長くなり、クレームも増えます。とりわけ夜診は患者さんにとってはニーズが大きいのですが、維持するのは大変です。今後ネット予約の導入を考えているところではあります。またスタッフも負担が増えて疲弊します。自分も体調がすぐれなくなり、気分よく診察ができない日も増えてきます。できるだけスタッフに気分よく仕事を続けてもらうには効率化や待遇面での経営努力だけでなく、スタッフ同士の仲の良さも大きな要因です。能力もさることながら穏やかで協調性のある方を積極的に採用するようになってから、そのあたりはようやく安定してきたと思っています。