患者さんから求められる医療を予想することが大事

谷村内科クリニック 谷村 雄志(2020/04 開業)

 私自身、開業時に何をすれば良いのかわかりませんでした。開業までに主にやることは、開業地の選定、経営戦略を考える、開業コンサルタント・内装業者・税理士の選定、スタッフの採用、ホームページ等の宣伝広告物の作成、院内設備・機器・薬剤の選定など、他にもたくさんあります。その中でも一番大切なのが開業地の選定です。駅やバス停から遠い場合は駐車場を確保できるかが大きなポイントです。そして開業予定地の周りにライバルとなるクリニックがあるのか調査も必要です。競争相手は少ないに限ります。

 次に経営戦略では、自分の得意分野を特色としつつ、開業予定地周辺の住民層を把握して患者さんから求められる医療を予想することです。その上で、クリニック名は専門をわかりやすくして専門治療に特化するのか、あえて専門を全面に出さずに幅広く診療を行うのか考えることが大事です。

 開業コンサルタントに関しては個人的には必要だと思っています。開業に関する事務作業は膨大で、診療所開設届など届出は10以上あります。自身の負担を減らすこともでき、専門家に任せるところは任せた方がスムースに進みます。すべて開業コンサルタントの言いなりになる必要はありませんが、税理士や内装業者なども紹介してくれて便利です。税理士や内装業者の選定にあたっては医業を専門としていることをおすすめします。待合や診察室に必要な大きさや、使いやすい間取りなど細かい気配りは知識・経験が勝ります。また、税理士は自分と相性の良い税理士を探すことが大事です。

 宣伝・広告に関して新規開業ではホームページは必須です。高齢者の方はあまり見ないのではないかと言われますが、ご家族がインターネットで調べて連れて来られるケースもあります。広告チラシは個人的にはあまり広範囲に配る必要はないと思います。チラシを見て来られる方は少ないからです。宣伝という意味では、近隣の基幹病院への挨拶が大切です。特に地域連携部などは病診連携の観点から重要です。

 設備・機器・薬剤に関して、まず医療機器は当初は必要最小限にした方が良いです。開業後でも購入はできます。薬剤費などは、薬価率はそんなに大きく変わりませんが「塵も積もれば山となる」で複数の卸業者から見積もりを取ると良いです。電子カルテや空調設備は故障すると致命的です。フットワークの軽い近隣の業者を選びましょう。

 情報共有できる先輩、後輩、友人はもちろん、業者などの手助けが必要です。保険点数や個別指導に関しては保険医協会が丁寧に教えてくれます。

 私の話が少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。