ときわ駅前なかむら眼科 中村 隆宏(2018/10 開業)
すべての経験が医院運営に活かされる
私のこれまでの生い立ちが医院開業に大きく影響しています。小学生の頃にかかりつけの医師のところへ行くと安らぎを感じていました。その時に、人に安らぎを与えられる医師になりたいと決意しました。そこから学生時代は必死に学問に取り組み、今でも私の座右の銘は「学問に王道なし」です。大学時代は、体育会の主将を務め、その時の経験が開業して院長になっても活かされています。
医局時代に恩師から教わったことがあります。1つ目は「敵をつくらないこと」。これから開業して、様々な競争相手が出てくると思います。その時は敵対するのではなく、お互い頑張ることで相乗効果が出るかもしれません。少なくとも敵にはならないようにと思っています。2つ目は「チャンスを与える」。私自身は医局時代に様々なチャンスを与えてもらい、院長になった今はスタッフ皆にチャンスを与えるようにしています。人はチャンスを与えられると頑張ろうという気持ちになります。
開業は4つの思考軸を持つことが大事
開業しようと思ったきっかけは、医業に詳しい税理士との出会いでした。税理士の話を聞くと点と点が線となり、線と線が面となって開業しないといけないなと思いました。「勝利の女神の後ろははげている」という言葉があるように、その機会を逃してはいけない、決断することが大事です。
開業には4つの思考軸が必要だと思っています。それは、「目的」「動機」「意義」「時機」です。なぜ開業をするのか「目的」をしっかり持っていないとこれから先の開業人生で様々な出来事が起こる中で自分がブレてしまいます。「動機」に関しては、私の場合は人と人との出会いでした。自分が開業する「意義」は絶えず考え続けることです。「時機」に関しては、タイミングがとても大事です。この4つの思考軸を常に頭に入れながら開業を進めていくのが良いと思います。
開業の準備は、信頼できるパートナーを見つけることが大事です。それは税理士やコンサルタント等、選択肢がいろいろあります。私の場合は今の顧問税理士と出会い、開業で失敗しないための基本を学びました。医療機器や建築に関して、疑問に思ったことはそのままにせず、必ず確認することが大切です。
クリニック名とシンボル、開業地選定…
クリニック名を決める上で大事なのは、患者さんが連想しやすいものが良いと思います。私の場合は、常盤駅(京福電鉄)の近くで開業したので「ときわ駅前なかむら眼科」としました。常盤も中村も患者さんが親しみやすいように平仮名にしています。クリニックのシンボル(カラー)を自分で作成しました。シンボル(カラー)を作った理由は、それを見た時にすぐクリニックのことをわかってもらうことが大事だと思ったからです。今はインターネットからも簡単に作成してもらえるので、ぜひ活用してみてください。
開業地の選定に関して、私は地元で開業しました。開業場所の土地勘があることは大きなポイントです。その他には勤務先周辺で開業される方もいます。勤務先周辺であれば、勤務医時代に診ていた患者さんが来てくれることもあります。しかし、全ての患者さんが来てくれるわけではないので、その効果は限定的だと思います。落下傘での開業は、診療圏調査をもとに選ぶことになり、診療圏調査はあくまでも参考程度にすると良いと思います。
建築設計では、患者さんの動線とスタッフの動線が交わらないように気を付けました。 動線が交わってしまうと混乱してしまいます。実際に既に開業されているクリニックを見学するのが良いと思います。見学することで良い点、悪い点がわかってきます。
開業=経営者となること
開業するということは、経営者にもなるということです。医師としての経験が何十年あったとしても、経営者としては新人です。自分で勉強していかないとわからないことだらけです。様々な書籍を読んだり、勉強会に参加したりしました。そこで学んだことを実践して、上手くいかないこともありますが、それも経験としてこれからの経営者としての成長過程だと思っています。絶えず経営者としての自覚を持つことが大切です。
10月で医院を開業して3周年になります。私の医院では、3年ごとにいろいろと変えながら、さらに挑戦していきたいと思っています。